
|K様邸
閑静な住宅街に佇む、グレーを基調としたシックな平屋。
ホテルライクな上質さと、機能美が調和したその住まいは、凛とした存在感を放っている。
この家の家主は、ロードバイクや音楽・映像鑑賞など多彩な趣味をお持ちのご主人と、リハビリ専門職として勤務され、家づくりにもその感性を大きく発揮された奥様。
好きを表現する空間と、未来も生活しやすい間取り・動線の二つを叶えたK様邸に訪れた。
人生の楽しみと生活の利便性。2つの視点でつくる家

|玄関から愛車を出し入れでき、リビングからも眺められる設計に
玄関を開けまず目に飛び込んでくるのは、リビングへとゆるやかにつながる屋内の土間。
ここはご主人の大切な趣味であるロードバイクを整備・保管できるのはもちろん、リビングからいつでも眺められるように考えられたスペースである。

|たっぷりの光が入る開放感のあるリビング
一方で、この家のもう一つの重要なテーマとしてあるのが、将来の介護への備えである。「将来、高齢の親と同居することになったら」「自分たちが年を重ねたとき、安心して暮らせるだろうか」
誰しも頭の片隅に浮かぶ、将来の暮らしへの不安。こうした自身への問いかけから、K様の家づくりは始まる。
当初は、夫婦二人で暮らすコンパクトな平屋を想定していたが、打ち合わせを重ねていく中で、長い目で見たご夫妻の暮らしに本当に必要な形が形成されていった。
奥様はリハビリ専門職として、日々高齢者やそのご家族と向き合っている。職業柄、「介護の現実」や「暮らしの中の危険」に常に目を向けてきた。
だからこそ、“住まいが人の暮らしやすさを決める”ことを、肌で体感していた。
平屋であることや段差のないフロア、プライバシーを守りながらも介助しやすい間取り── K様邸は、そんな奥様の知見とご夫妻の想いを反映させた、まさに「将来も暮らしやすい家」の理想形である。
将来の介護を見据えた、廊下のない回遊動線

段差をなくした介助しやすい設計。
間取りで最も象徴的なのは、廊下をつくらず、空間をつなげて生まれた回遊型の動線である。
車椅子を利用することになったときのことを想定し、どの部屋にも最短距離でアクセスできるように設計されている。

|居室と洗面の両方から入れるトイレ
特に配慮されているのが、将来ご両親用にと設けられた部屋からの生活動線だ。
居室からトイレ、洗面・浴室へと一直線でつながるプライベート動線は、夜間のトイレへの移動や介助時にもストレスが少なく、本人・介助者双方にやさしいつくりとなっている。
また、廊下をなくしたことで室内の寒暖差を軽減し、冬のヒートショック対策にもつながる。
さらに、建具や通路幅も、介護ベッドの搬入や車椅子の回転をシミュレーションした上で広めに設計されるなど、奥様の職業的目線が大いに活かされている。
これらはまさに、バリアフリー住宅の理想を追求した実践例である
「生活感を隠す」ことで、いつでも整った暮らし


|オープンにも隠すこともできるキッチン背面収納
家の中でも特に生活感が出やすいのがキッチンまわりだが、K様邸ではその点にも配慮が行き届いている。
キッチン背面収納には壁の色と同色の引き戸を設け、使わないときは扉を閉めてサッと隠せる仕様に。
急な来客にも慌てず片付いて見せる、奥様のアイデアが活きている。

|設備にもこだわったオープンなキッチン
また、デリシアのガスコンロやフロントオープン型の食洗機など、設備選びにも妥協がなく、「使いやすさとデザイン性を両立したい」という希望が、見事に形となっている。
当初は腰壁のあるキッチンを検討していたが、ご主人とコーディネーターの提案により、最終的にはオープンスタイルを採用。
空間に広がりが生まれ、リビングとの一体感もアップした。

|洗濯がここで完結するランドリールーム
洗濯は、外干ししないという選択によりランドリールームに「乾太くん」を導入。
干す・乾かす・しまうの動線が一箇所に集約されたことで、洗濯が一気に効率的になった。
こうした細やかな工夫を集めた家事ラク動線が、毎日にゆとりをもたらしてくれている。
住まいに、趣味の居場所を添えて

|ご夫妻のロードバイクが並ぶ土間
「家は、安心して暮らす場所であり、好きなことを楽しむ場所でもあってほしい」そうしたご主人の想いを実現したのが、玄関横の屋内土間スペースである。
この空間には、ご主人が愛用するロードバイクを保管・整備できる機能性が備えられているだけでなく、ガラス越しにリビングから愛車を眺められるという視覚的な楽しみもある。
まさに、ご主人の希望であった“自転車と暮らす家”を叶えたアイデアである。

|ロフトはオーディオルーム
また、リビング上部に設けられたロフトスペースには、オーディオ機器やプロジェクターが設置され、調光式の照明が雰囲気を演出。
ご主人のもう一つの趣味である音響・映像の世界にどっぷり浸ることができる、いわば“大人の隠れ家”的スペースとして機能している。
予算と向き合いながら叶えた納得の家づくり

|上質なインテリアも熟考を重ねたもの
とはいえ、理想をすべて盛り込めば予算オーバーは避けられないのが家づくりの現実。
実際、K様が最初に提示された見積もりも、ご夫妻の想定を超えていたという。
そこで、サンクスホームの営業担当が、住宅ローンの比較や保険の見直しも含め、あらゆる方面で調整案を提案。
希望を叶えるために削ぎ落とす“引き算”ではなく、“かけ合わせ”の発想で最適解を丁寧に導き出していった。
平屋を希望していたご夫妻の心配要素であった土地探しの不安にも寄り添い、いくつかの土地の候補の中から一緒に現地へ足を運ぶこともした。
また、サンクスホームの営業・設計・現場監督・コーディネータースタッフが全員サンクスホームでの建築経験者であったことも、ご夫妻にとって安心材料だったという。
実体験に基づくアドバイスは、机上の空論ではなく実感を伴っており、参考になったと語る。
実際に暮らして感じた、住まいの「快適性」

|ロフトから見下ろしたLDK
ご夫妻がこの家に住み始めたのは、寒さが厳しくなり始めた12月。冷え込みが心配されたが、「床が冷たくなくて驚いた」と奥様は言う。
高窓からの採光や床下断熱、風通しの良い間取り設計など、目に見えない性能の高さが、一年中、暮らしの満足度を大きく支えている。
さらに、レールレス建具による掃除のしやすさや、外構と外からの視線のバランスなど、日常生活の中で感じるささやかな快適さも、この家の魅力のひとつである。

|奥様が製作したキッチン収納
また、奥様はキッチン横の収納にすっきりと馴染むキッチン収納をDIYし追加するなど、さらに使いやすく進化させているという。

|外からの視線を遮る中庭
また、外からの視線を遮る中庭も設け、周囲を気にせず、プライベートな時間を楽しめる空間に。
天気のいい日にはここでゆっくりと過ごしたり、趣味の時間を楽しんだりと、日常の中に穏やかなひとときをもたらしてくれる。
今後は、家の外に花壇や庭を作る構想もあり、これからの暮らしにさらなる楽しみが加わっていく予定だ。
「老後も動きやすい家にしたことで、将来の不安が減り、気持ちがずいぶんと楽になった」と話すご夫妻。
最後に、「親孝行がちゃんとできる家になって良かった」と微笑む奥様の姿が印象に残った。
お二人の想いが詰まったこの家で、末長く暮らしを重ね、愛着を育んでいくことだろう。