
株式会社サンクスホーム 代表取締役社長 䑓堂 貴也(写真左)
ラグビーで子どもたちに「三重を好きになる理由」を!異業種が挑む、地域を育むサンクスホーム杯
「地域貢献」の熱い想いから誕生したラグビー大会「サンクスホーム杯」。開催する株式会社サンクスホームと、その熱意に共鳴し協賛する三重トヨタ自動車株式会社が、三重の未来を担う子どもたちの育成に挑んでいます。
この挑戦的な異業種連携のトップ、竹林憲明社長(三重トヨタ)と䑓堂貴也社長(サンクスホーム)が、大会に込めた地域への熱い想いを語り合います。ラグビーが教える「人づくり」の価値とは?そして、その「絆」の精神を土台に、両社が地域社会とどう向き合っているのか、その原点に迫ります。
1. なぜ、今「ラグビー」なのか?―青春を捧げたスポーツから学ぶ価値
少年時代から今日まで、人生の大きな時間をラグビーに費やしてきた竹林社長。その経験は、どのようにして現在の経営の土台となったのか。熱く語っていただきました。

三重トヨタ 竹林社長: 私は高校・大学・社会人まで、青春のほとんどをラグビーに注いできました。ラグビーは球技でありながら、相手をタックルして止めたり、スクラムで体を押し合ったりするなど格闘技の一面もある。だからこそ本気で向き合える“良さ”と“素晴らしさ”を実感してきました。
高校で始めた頃は、正直きつくて痛い。入部直後は腹筋・背筋・ダッシュの基礎づくりばかりで、面白さもまだ分からない時期でした。初めての対外試合は入部から3ヶ月後。10分で足が止まり、相手に押し込まれました。悔しくてたまらず、そこで初めて“基礎体力の大切さ”が腹に落ちた。
大学に進むと、練習メニューも試合の準備も自分たちで組み立てるようになります。どう強くなるか、どう勝ち切るかを自分たちで考え、実行する。チームの作り方、運営、仲間との絆づくりを実地で学びました。
そして社会人になってから、その学びが経営と直結していると気づきました。共通の目標に向かって、全員が同じ方向を見て準備し、試合(仕事)に臨む。うまくいけば皆で喜び、うまくいかなければ原因を共有して次の一手を考える。時に自分が失敗して仲間に支えられ、今度は自分が誰かを支える―その繰り返しが絆を強くする。この感覚を、会社づくりにも生かしたいと考えています。
2. 「試合の機会が足りない」という声から生まれた地域貢献の形
大会立ち上げの背景には、地域貢献を「具体的な形にしたい」というサンクスホームの強い願いがありました。当時の課題や、協働のきっかけについてお二人にお伺いします。

サンクスホーム 䑓堂社長: サンクスホームの会長には、ずっと“地域貢献を形にしたい”という想いがあり、私も同じ熱を持ちながら、なかなか具体化できないもどかしさがありました。そんな折、取引先でラグビースクールを指導しているスタッフから『ラグビーをしている子どもはいるのに、試合の機会が足りない』と聞いたんです。
当時、ラグビーは今ほど露出が多くなく、野球やサッカーに比べると機会が限られていたのも事実でした。 それなら“大会という場”をつくれないか—社会貢献を目的に、子どもたちの試合機会を増やし、それを青少年の育成につなげよう。そう話し合ってスタートしたのがサンクスホーム杯です。
『試合の場を増やすことは、地域貢献になる』と確信して動き、初年度から多くの皆さまにご協力いただきながら運営してきました。おかげさまで今回で8回目。会長の想いは、一歩ずつですが、確かに“地域貢献”という形になってきたと感じています。
三重トヨタ 竹林社長: 私自身がラグビーを通じて「人としての土台」や「地域との絆」の大切さを深く感じていたからこそ、サンクスホームさんの活動に強く惹かれました。
サンクスホームの䑓堂会長にラグビーの話をする機会があり、小・中学生を対象にサンクスホーム杯を続けていると伺い、心から感動しました。 「この活動こそ、私たちが目指す地域への貢献だ」と感じ、『ぜひご一緒に』と私たちも協力させていただくことになった―それが今日につながる経緯です。
3. 子どもたちの熱いプレーから学ぶ、ラグビーの普遍的な価値
毎回、熱戦が繰り広げられる「サンクスホーム杯」。子どもたちの懸命なプレーや、ラグビー特有のノーサイドの精神が、企業トップの心に響く瞬間について伺いました。

サンクスホーム 䑓堂社長: 毎回大会に行っていますが、子どもたちが一生懸命プレーする姿、仲間とタッグを組んで戦略を立てて前へ進む姿に、いつも胸を打たれます。体の小さな子が大きな相手に思い切ってタックルに入る場面もあれば、女子も同じフィールドで堂々と戦っている。小学生ラグビーは体格に関係なくそれぞれの役割があり、誰もが主役になれる―その懸命さに、毎回心を動かされます。

三重トヨタ 竹林社長: サンクスホーム杯を見ていて特に印象的なのは、家族の方々もラグビーを理解して、全員で応援していること。選手同士はもちろんですが、家族同士の交流もあって、みんなが笑顔で支え合っている。あの温かい雰囲気は、この大会ならではだと思います。 試合が終わってノーサイドの笛が鳴ると、敵味方の区別はもうありません。“お互いを讃え合い、仲良くしよう”という精神がある。あの瞬間に流れる空気は本当に清々しいです。チーム同士、家族同士、地域全体がひとつになれる—そういう場をつくれていることは、非常に素晴らしいことだと感じています。
4. 経営に活きる「One for All, All for One」の精神
ラグビー精神の代名詞とも言える「One for All, All for One」。この言葉を、お二人は組織運営や顧客サービスにおいて、どのように実践しているのでしょうか。その本質を語っていただきました。
三重トヨタ 竹林社長: “One for All, All for One”って、経営の現場だと勘違いされやすいんですが、仲良しクラブの合言葉じゃないんです。まずは自分の責任を自覚し、やるべきことをきっちり果たす―ここが大前提です。そのうえで初めて、仲間やチームをフォローする順番だと思っています。
今は、いまお付き合いのあるお客さまに“次もここで買いたい”と思っていただける関係づくりが大切だと感じています。そうなると営業一人では完結しない。ご来店時に迎える受付、最適な提案をする営業、点検・整備を担うアフターサービス(エンジニア)それぞれが自分の役割を果たし、一本のラインでお客さまに向き合う。その連携が伝わって、初めて『この店舗はいい』と感じていただける。これこそが、現場で生きる“One for All, All for One”だと考えています。
サンクスホーム 䑓堂社長: ラグビーの精神は、まさに僕らの仕事にも通じます。スタッフ一人ひとりが役割を果たしながら、一丸となってお客様と向き合う。その積み重ねが会社の成長になるんです。 大事なのは、変化に強く、しなやかに立て直せるチームをつくること。ラグビーの精神のとおり、スタッフが一丸となってお客様の理想の住まいを支える文化を育てていきます。地元に根ざして“なくてはならない企業”になっていきたい。だからこそ、“One for All, All for One”は僕が一番好きな言葉でもあります。
5. 地域の未来を担う子どもたちへのエール
まもなく次回の大会を迎えるにあたり、大会を継続し、さらに発展させていくために。
お二人は「サンクスホーム杯」が三重の未来にどんな役割を果たすことを願っているのでしょうか。子どもたちへのエールと、大会のビジョンについて伺いました。

三重トヨタ 竹林社長: 今年のサンクスホーム杯は、高校の公式戦も入って、大会の領域が一気に広がりました。まずは、サンクスホーム杯に参加してくれる子どもたちにとって本当に意味のある大会にしていきたい。ラグビーが三重で当たり前に語られるメジャーなスポーツになることに貢献したいんです。それが巡り巡って地域への貢献につながるはずですから。
そのためにも、まずは応援を続けられる会社であること。しっかり経営して、継続的に支えられる体制を整えていきます。
サンクスホーム 䑓堂社長: サンクスホームと三重トヨタさんでタッグを組んで、この大会をこれからも継続していきたいと思っています。
現在は幼児・小学生から高校生が対象ですが、将来的には学生だけでなく、社会人チームも参加する“県を代表する大会”に育てていきたい。 地域の子どもたちが『この大会に出たい!』『三重の高校に進学したい!』と思ってくれるような存在にして、なくてはならないイベントにしたいんです。三重の一大イベントとして、これからが本当に楽しみです。そんな未来を想像しています。
「人づくり」と「地域への想い」を原点に、異業種が手を取り合う「サンクスホーム杯」。お二人の対談からは、ラグビー精神が企業経営や地域貢献の「土台」として深く根付いていることが伝わってきました。
選手の熱いプレーはもちろん、その背景にある両社の「絆」を感じることで、11月3日に行われる「第8回サンクスホーム杯」がさらに意義深いものになるでしょう。
【後編】では、両社の夢や未来の暮らし、そして「三重といえばラグビー」と言われる一大イベントを目指す、ビジョンに迫ります。どうぞご期待ください。